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吉里吉里保育園

鉄骨造2階建 2014年7月竣工

こちらはカクタ設計さんの、意匠、構造設計を当所で担当させていただいた、吉里吉里保育園。以前の園舎は東日本大震災で全壊し、高台移転による再建工事でした。台湾赤十字さんや、カリタススイスさんなどの支援で、再建が実現しました。吉里吉里の街を見下ろす高台に建てられ、海や町の復興を見る「双眼鏡」をイメージしています。

玄関とホール。土足の部分は、モルタルの洗い出しです。土足部分と上足部分の段差は、ほとんどとっていません。内部の色調は白と木の色などをベースとして、建具や家具などにパステルカラーを使っています。高い天井も一つの特徴です。

1階の2歳児保育室兼ほふく室です。家具をパーテーションとして、保育室とほふく室のエリアを分けています。写真ではあまりわかりませんが、家具の中の背板だけが、原色に近いオレンジ色になっています。隣の建具との色相の関係など、一つの部屋で、バランスよく配色するように心がけました。左の窓は屋外のテラスに面した掃出し窓ですが、小さい子どもが出ていかないように、木製の柵がついています。

1階のトイレです。2歳児までのトイレなので、ご覧のようにとても小さいです。象の形の仕切り板は、手すりとペーパーホルダーも兼ねています。

2階の遊戯室。この部屋が、外から見た「双眼鏡」のレンズにあたる窓がある部屋です。 窓の間に砦があるのですが、これは建物の構造体である柱を使って作られています。 柱には色とりどりのクライミングホールドついていて、木登り柱と呼んでいます。 入り口の建具のデザインは、正面の窓にも見えますが、周囲を取り囲む森をイメージしています。

レンズの窓と、砦を正面に見たところ。窓の外は正面に吉里吉里の町が見え、右のほうに吉里吉里海岸と海が見えます。とても素晴らしい景色です。天井には細長い天窓がついています。とても明るい遊戯室です。

遊戯室を出ると廊下が一直線にあり、その上にも天窓があります。写真は廊下の突き当たりから、遊戯室を見たところです。砦が一番奥に見えます。両側に3~5歳児の保育室などが配置されています。

上の写真の左側の部屋、4歳児保育室です。窓はすべて広いバルコニーに面していて明るく、開けば広い、半屋外の部屋として使うことも出来ます。廊下に面した建具も、森の木をイメージしたデザインで、こちらも広く開けることができます。

廊下の写真の右側の部屋、5歳児保育室です。向かいの4歳児保育室も、すべて建具を開けた状態です。このようにオープンスクール形式として使うことが出来ます。右側はやはり広いバルコニーになっています。

ロゴデザイン。外壁のイメージと合わせて、カラフルなものにしました。素朴さや、子どものコロコロしたかわいさを表現できているのではないかと思います。なお、外壁は虹色をイメージしていますが、グレーのセメント系外壁材に、透明塗料を塗っているため、天気によって色が違って見えます。この日は曇りでした。