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足りない活字のためのことば展住田会場レイアウト

古民家活用 2014年6月

岩手県の住田町で、足りない活字のためのことば展のための、会場レイアウト計画をボランティアでさせていただきました。足りない活字のためのことば展とは、東日本大震災で被災した、岩手県釜石市の印刷所にあった活字を使った、詩の作品展です。会場は住田町に現存する、築100年以上の蔵でした。

会場として使用としたのは、蔵の2階で50㎡以上ある広いスペースでした。詩と版画が19点、活版印刷機と活字、展示概要パネル、写真パネルなどを展示しました。ちょうどいい大きさで、雰囲気が良さそうではあったのですが、照明がありませんでした。そのため、照明器具を計15台購入し、市販の延長コードで配線しました。

照明器具は母屋(もや)に取付。見る人の影が映り込まないような位置に調整しました。LED電球を使っているのですが、LEDの光は直接見るとまぶしいので、直接目に入らず展示物だけを照らすようにし、全体的には、その反射光だけで照らすことにしたのですが、十分な明るさになりました。

LED電球は全て電球色としました。色合いが、蔵の雰囲気、木の空間、そして活字の作品にマッチしていたように思います。

このイーゼルは私とは別の建築士さんが設計したものですが、制作は私も協力しました(笑)。ポスターデザインは長野のデザイナーさん。ベースとなる写真も一流の方が撮ったそうです。ステキですね。このポスターだけ、LEDのスポットライトで照らしました。

こちらは会場でお借りした、丸太をスライスしただけの板(何の木かわかりませんが^^;)に桟木をしいて、展示台として利用。活字を所有していた印刷所の印刷物などを展示しました。ちなみに住田町は木材の一大産地だそうです。

詩の作品のうち1点だけ、特別な感じを演出するために、照明器具を近くに設置しました(写真では光りすぎていますが、実際には見やすいです^^;)。谷川俊太郎さんの詩です。作品を飾っている額は、和リングプロジェクトさんという、大槌町で木工をされているグループに作っていただきました。津波で流された建物などの廃材を使用しています。

照明器具として使ったのは、家電量販店で販売されていたクリップライト60W用。予算の関係で安いものです(笑)それにLED電球の50W相当を取付けました(60W相当だと、なぜか値段がはね上がるようです)。LED電球を使ったのは、拡散しにくい特性があるため、スポット的な演出効果が望めると思ったからですが、タコ足配線だったので、消費電力が少ないところも功を奏しました。

展覧会が終わった後、展覧会主催のKamaishi Letterpressさんのご好意もあり、今回購入した照明器具を、蔵の所有者さまに、そのままの状態で寄贈することになりました。この後も、展覧会やイベントなどに役立てていただけると思います。住田町には保存状態のいい蔵が多く残っており、使われなくなった蔵の活用例になるといいですね。