ワークス

K商店事務所リノベーション

鉄骨造2階建(改修) 2015年6月

築40年以上の鉄骨造2階建て事務所を、リノベーションさせていただきました。 外部はすでに、カバー工法で改修済みで、内部の改修と耐震補強工事でした。 床は既存の土間コンクリートに塗床を施工。壁は全て更新して、OSBという合板の一種を貼り、現しとしています。 現しというのは、塗装や、壁紙を貼るなどの仕上げをせずに、そのままということです。 こういうOSBの壁、5,6年前から、建築雑誌などでよく見かけるのですが、当所で使わせていただいたのは初めてでした。 産地などでテクスチャーが違い、試行錯誤の結果、このような仕上がりとなりました。

エントランスから内部を見た写真です。右側がカウンターで、正面と左側に、商品を展示する棚を設置しています。 丸い鉄板を介して、丸鋼で引っ張っているところと、左の窓に×印に引っ張っている丸鋼が、耐震補強です。 もともと天井を貼ってあり、鉄骨が見えなくなっていたのですが、今回の工事で、補強の様子がわかるようにあえて露出させました。

内部からエントランスのほうを見た写真です。 半円のパーテーションで囲まれた机は、経理用の机です。 窓はブラインドが下がっていて見えませんが、既存の窓の内側に、もう一つサッシを付け、2重サッシにしました。 壁には以前はなかったのですが、断熱材を入れています。 それによって、温熱環境が改善されています。

2階の会議室です。エントランスが見えるように、全面をガラスにし、一部床を撤去して、吹き抜けを作りました。 鉄骨は、既存の鉄骨を塗り替えています。 2階の天井はスケルトンとはせず、天井を貼って、断熱材を入れています。 吹き抜け部分にシーリングファンを設置し、空気の撹拌を行います。 なお、建具は全て、米松のピーラ材としました。

ここからはビフォア・アフターです。 以前の事務所の様子です。以前は1階に事務所機能が集中しており、2階とのつながりがなく、そのせいもあってか、2階はほとんど使われていませんでした。広さは1階だけで十分ということのようでした。 冬が寒いというお話も伺いました。

前述のように天井をなくして、鉄骨現し(スケルトン)としたことで天井が高くなり、また吹き抜けを作ったことで、ひろがりのある空間となりました。また、奥の階段に加えて、吹き抜けの2ヶ所を、空間的につなげたことで、2階との一体感が生まれました。その上で、1,2階とも事務所スペースにして、ひろびろと使えるようにしました。

こちらは以前の2階の広間。畳の大きい部屋ですが、ほとんど使われていないということでした。断熱材が入っておらず、鉄板屋根のため、夏はかなり暑かったようです。窓の間の木が見えているところは、中に鉄骨の柱があります。このようにして、鉄骨を見えないようにしてありました。

床を貼り替え、土足で歩けるようにして、事務所スペースとしました。鉄骨の柱を現しにして、1階同様、耐震ブレースを取り付けています。 天井は化粧石膏ボードを貼って断熱材を入れました。 なお照明器具はLEDのダウンライトとしています。 左は会議室で、その奥がエントランスの上の、吹き抜けです。

会議室は以前、このような応接室となっていました。こちらもあまり使われていなかったようです。いい雰囲気ではありますが、奥まっているため、使いにくいところもあったのではないかと思います。窓の下が白くなっていますが、以前雨漏れがあったようです。外壁をカバーしたことで、雨漏れは止まったということでした。

改修後はこのように、会議室となりました。以前の奥まった感じを一新し、吹き抜けを介して、エントランスが見えるようにしました。なお、ここまででお気づきかもしれませんが、窓の位置は変えておらず、全て既存の窓を利用しています。窓の位置を変えると、すでに改修してある外壁にまで影響が出るためです。難しいところもありましたが、窓はそのままで、うまくレイアウトを変えられたのではないかと思います。