T様邸オフィスリノベーション
木造2階建て(改修) 2016年6月竣工
白子本町の築100年以上の古民家をリノベーションさせていただきました。そしてオフィスとして、当事務所が入居させていただくことになりました。こちらは応接スペースや、多目的に使えるスペースです。右側に耐震補強の打ち放しコンクリート壁があり、そこに2階へ上がる階段を設置。上部は、以前は2階の床が貼ってあったのですが、撤去して吹き抜けとし、その材料を1階の床に使っています。
階段を上った2階部分。正式な2階でなく、厨子2階と言われる屋根裏のスペースです。既存の床の上に構造用合板を貼って、1階の配線などのスペースとしています。壁は土佐漆喰で仕上ています。
ここからはビフォアアフターで、ご紹介します。こちらは昭和中後期ごろに行われたと思われるリフォームで、洋室になっていました。土間だったところに床を作ってじゅうたんを敷き、柱や天井など木部をボードなどで覆って、洋室としていました。
その洋室の半分を、元の土間に戻し、玄関から裏口まで抜けられる「通り庭」として復元。裏口には木製建具を設置しています。土間には那智黒石をランダムに埋めています。
以前は、障子やふすまで区切られており、ほとんど6帖か8帖の畳の部屋でした。この部屋などには窓がありませんでした。奥の部屋の出格子の部分にも障子が入っていて、全体的に暗い雰囲気でした。
事務所とするために床を下げ(天井や鴨居を高くするため)、杉の床板としました。建具を外して3室を1室に。押入れも建具を外して、一つの空間にしました。耐震補強のため、出格子の部分に耐震格子を入れました。既存の建具も、残せる部分はそのまま使用しています。
以前の外観です。母屋は玄関にアルミ建具が入っていました。屋根が老朽化し、外壁の漆喰がところどころはがれていました。母屋の隣に納屋がありましたが、状態がそれほどよいものでもなく、使用していませんでした。
母屋の正面は、出来るだけ以前(新築時)のままの姿に復旧することにし、老朽化している部分を取り換え、屋根も葺き替えました。玄関は木製建具に取り替えました。壁の漆喰も塗替え。納屋は解体し、両開きの門塀を新設。開ければ車も入ることが出来るようにしました。中庭が明るく、風通しがよくなりました。
以前の中庭の様子。左の建物が母屋です。右手前が離れで、真ん中にやはり昭和中後期あたりに作られたと思われる、水回りを集約して、渡り廊下を兼用した建屋があります。
母屋は外壁を貼り替え、水回りの建屋はアルミサッシの取替、一部外壁を貼り替え、外壁の塗替えなどを行いました。庭に石を敷いて、鉄板で塞がれて見えなくなっていた井戸が見つかったので、災害時にも使用できるように、手動ポンプを設置して、飲料水以外に使用することにしました。